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【第37回東京国際映画祭】藤津亮太が語る映画『窓ぎわのトットちゃん』の魅力「注目すべきは演出装置としての“窓ガラス”」

11月1日、現在開催中の第37回東京国際映画祭にて、黒柳徹子氏の自伝的小説をアニメーション化した映画『窓ぎわのトットちゃん』の上映が行われ、東京国際映画祭プログラミング・アドバイザーを務めたアニメ評論家、藤津亮太氏が同作を解説するトークショーを行った。

1981年に出版され、800万部以上の大ベストセラーとなった原作の「窓ぎわのトットちゃん」には、当時から映像化のオファーがあったものの、黒柳氏は重要な登場人物であるトモエ学園の小林校長先生を演じられる役者がいないことを理由に断ってきたという。それが、2016年頃、当時『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』を監督していた八鍬新之介監督が同作を手にとったことがきっかけで映像化の話が進んだという。

当時子どもが生まれ親になった八鍬監督は、国内外でおこる戦争や事件など子どもが不幸になる報道を見る中でこの先の社会を案じ、現実とリンクしながらも明るさを感じられる作品を作りたいと思い、その中で出会ったのが「窓ぎわのトットちゃん」だったという。企画提案後も黒柳氏と綿密なやりとりを重ねてプリプロダクションを進めていき、7年越しの劇場公開となった。

本作のキャラクターデザイン・総作画監督を務めたのは金子志津枝氏。キャラクターデザインのベースは、昭和初期に発行されていた子ども雑誌のイラストを意識しながら、彫刻家の舟越桂氏の作品がもつ立体感を加えるという方針で制作された。日本のアニメーションではあまりない、キャラクターの唇に赤い色が入っているのも、子ども雑誌からヒントを得た手法だという。

続く背景美術の紹介では、美術設定を担当した矢内京子氏が、昭和初期の建築様式の知識に加え、ロケハンや黒柳氏が提供した資料を踏まえ、さまざまな空間を緻密に設計。そこに美術監督の串田達也氏が色を使って光や空気の感じを加えていったという。
藤津氏は、中でもぜひ“窓ガラス”に注目してほしいと語り、ていねいなディテールに支えられた結果、戦中から戦争末期に向かって変わっていく街の風景がとてもリアリティーをもって観客に迫ってくることになったと話した。

トットちゃんを軸とした子どもの視点で描く本作では、大人の世界でおきている大きな変化も子どもにとっては日常のちょっとした変化や違和感でしかない。そのあたりのバランスを表現する方法として、大人の世界をふと垣間見てしまうシーンはあえてガラス越しに描いており、そのバランスのとり方も見どころだという。

一方で、子どもらしい想像力をアニメーションならではの表現の自由で豊に表現しているシーンもあり、リアリティーのあるシーンとアニメーションらしい想像力溢れるシーンという振り幅とその両立が本作の魅力のひとつであると語った。

©黒柳徹子/2023映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会

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【第37回東京国際映画祭】塚原重義監督、映画『クラユカバ』主演・神田伯山起用について振り返る「作品の時間の流れが止まる気がして説明口調が嫌い。講談調に流れるように言ってもらいたかった」

11月2日、角川シネマ有楽町にて『クラユカバ』のトークショーが開催され、監督・原作・脚本を務める塚原重義が登壇した。

塚原監督はバンド「SEKAI NO OWARI」の舞台設計やアニメ制作に携わるなど、長年個人映像作家として活躍してきており、本作『クラユカバ』が初の長編アニメーション映画となっている。同作は集団失踪事件の謎を追って地下世界「クラガリ」に足を踏み入れる私立探偵の活躍を唯一無二のレトロな世界観で描いた作品で、昨年のファンタジア国際映画祭の長編アニメーション部門で観客賞・金賞を受賞している。

本作は「クラガリ」というレトロな地下世界を舞台にしている。その舞台設定について塚原監督は「自分は東京出身で、東京という街の歴史について興味を抱いた時期があった。本作は東京北区王子をモチーフにしている。自分が思う架空の東京を強く意識してますね。」と語り、さらに「東京の地下鉄が好き。地下鉄って身近で行ける異界なんです。馬喰町駅とかすごいんですよ。やたらと地下水が沸いてて、そこら辺に水が滴ってる。こんな場所が東京中央区にある。手軽に行ける異界は地下だと思って使っていった」と地下世界を選んだ理由を語った。

こういった舞台設定があって、その上でストーリーを考えたという。塚原監督は「今回は地下を冒険する話にしようというのが大前提。そこから地下世界冒険作品って、どんな作品があるか調べた。日本神話の黄泉比良坂とか。あれは死者や過去にいなくなった人を探す話で、そこを一つのモチーフにしようと思った」とコメント。さらに「この作品は構想期間が長かったんですけど、なかなか企画が成立しなかった。企画書を持ち込んでも断られ続ける。そんな閉塞感のある日常というのを主人公に込めた。それで壮太郎が生まれた」と、この作品の制作過程の中で主人公・壮太朗というキャラクターが生まれたことを語った。

そんな壮太朗を演じたのは「最もチケットが取れない講談師」と言われる六代目・神田伯山が務めた。このキャスティングについて塚原監督は「壮太朗の声は迷ったんですよ。話の展開上、壮太朗はとにかくセリフが多くなる。なおかつ探偵役なので説明口調が多くなるんです。でも僕は説明口調嫌いなんですよ。その瞬間だけ作品の時間の流れが止まる気がして。ただそれを講談調に、流れるように言ってもらえたら何とかなると思った」と、神田伯山起用について振り返っていた。さらに壮太朗のキャラクターについては「実は構想初期はいなかった。タンネ(黒がねの装甲列車の指揮官)の方が、長編を作ろうと思った時からいた。壮太朗のキャラが出てきてからも、当初はあくまで視点役でだいぶキャラが薄かったですね。だけど製作の過程でもう少し主人公を強くしていこうとなった」と語った。

本作の製作過程について聞かれると「まずは中心となるプロットを先に完成させて、そのあとはいきなりコンテ作りだった。その段階で、ここは尺があった方がいいという部分は、積極的に掛け合いとかを入れていくという作り方をしました。普通のアニメってコンテを最後まで完成させてから作り始めるんですけど、今回はコンテを作りながら、作品を仕上げていった。だから製作チームの作業がコンテに追いついてくると、コンテ最後まで終わってないからどうしよう・・・って作り方でした。よくない作り方なので皆さんマネしないでください(笑)ただ、この作品ではその作り方で良かったと思います」と振り返っていた。

さらに、本作では操画監督という珍しいクレジットが出てくるが、それについては「これは僕の造語なんです。簡単に言うとフラッシュアニメーションで、自動中割ではないけど、自動中割的なことをやって、なるべく少人数で作り上げるための役割。アニメ業界は人手不足なんで・・・集まってくれたスタッフだけでなんとか作り終えきれる手法って、これしかないと思った」と語った。

本作が初の長編アニメーション映画となった塚原監督。本作はミステリー的な要素も含まれているが、それについて「本来は幻想文学的な作品にしようと思ってたけど、商業的にも成功させるにはミステリー仕立てにした方が良いということで、ミステリー要素を足したんです」と振り返った。
最後に次回作について聞かれると「今回初めて長編映画を作ってみて、観客に伝わることと、伝わらないことが分かってきたので、それを踏まえて、また映画を作りたいです。異界巡りはまたやりたいんですけど、よりエンタメに振り切った作品を作りたいですね」と、次回作への意欲を語りイベントは締めくくられた。

舞台挨拶イベントの模様はこちらをチェック(通訳あり)

©Shigeyoshi Tsukahara/KURAGARI Production Committee

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11月2日(土)、現在開催中の第37回東京国際映画祭のアニメーション部門で「ルックバック」が上映され、監督、脚本、絵コンテ、キャラクターデザイン、作画監督を担当した押山清高、そして声優として藤野役を演じた河合優実と、京本役を演じた吉田美月喜が登壇。

興行収入20億円突破した大ヒットを記録している本作。周りの反響を聞かれると、河井は、今までの映画とは違う反響があると、間口が広がっている実感を語った。また、国外での上映にも触れ、アメリカの知り合いからの連絡があったり、大反響を肌で感じている、と喜びを口にした。

吉田は、自身のSNSに海外の方からさまざまなコメントが届いていること、先日中国で公開した際に、ちょうど中国にたまたまいた父が現地で見に行ってくれたと世界に広がっている嬉しさを語ったとともに、海外の皆さんにも口コミで伝わっていること、そして日本アニメの可能性を実感したようだった。

押山監督は、先日LAに赴いた際に、アニメ業界関係者に向けた試写会の中で、見終わった後、多くの方が列をなして映画よかったと伝えてくれた経験を語り、アメリカのクリエイターに届いたという実感を得たようだった。

キャラクターデザインも担当されている押山監督は、実際に絵を描いている時に、声のイメージをどのぐらい持っていたのか?という質問に、声が鮮明に頭の中で流れているほどイメージしていなかったが、オーディションで河合、吉田ともに実際に二人の声を聞いてみて、自分のイメージにピッタリだったり、さらには自分の想像を超えてきている声や芝居だったと、二人を選んだ時の心境を語った。

今回初めて声の演技に臨んだ河合、吉田だったが、お互いの印象を聞かれると、河合は、同じブースで収録した際に、マイクに立つ吉田の後ろ姿から伝わっている気迫や熱い想い、そして一生懸命さに勇気をもらったと語った。吉田は、河合が同じく声優初体験だったにも関わらず、引き出しが多く対応力が高いところに触れ、河合と彼女が演じている藤野というキャラクターとシンクロしたようだった。そして河合が吉田を見て感じた「一生懸命さ」というのが演じた京本というキャラクターと自身が共通する部分だと語り、河合と吉田がそれぞれのキャラクターを演じたことに運命を感じたようだった。

想いが詰まった原作の映画化について聞かれた、押山監督は、原作者の藤本タツキさんが、自分のために書いた原作だったから、この映画は、自分自身のために描いた映画にしようと、その想いを映画の中に載せて描いたと熱い気持ちを語った。

大ヒットを記念して監督へ花束の贈呈がされ、河合からは、この作品が自身の大きなモチベーションになったこと、参加させてもらったことへの感謝を伝えた。吉田からは、自分の声に自信を失くしていたところ、本作が自身を肯定してくれたような気がしたこと、この作品、そして仲間に出会えたことへの感謝の気持ちを伝えた。

舞台挨拶イベントの模様はこちらをチェック(通訳あり)

©TATSUKI FUJIMOTO/SHUEISHA ©2024 Look Back Film Partners

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【第37回東京国際映画祭】『数分間のエールを』トークショー/ぽぷりか監督「30年分の人生喰らえ!っていう感じで作ってしまった。」

11月3日(日)、第37回東京国際映画祭にて『数分間のエールを』のトークショー付き上映が行われ、監督のぽぷりかと、インタビュアーとしてアニメ評論家の藤津亮太が登壇した。

本作は、ヨルシカのMVなどを手掛けてきた映像制作チーム「Hurray!」の3名、ぽぷりか・おはじき・まごつきが初の劇映画として担当した作品。MV制作に没頭する高校生・朝屋彼方は、ある日ストリートライブをしていた織重夕に出会い、「この歌のMVを作りたい」と熱い想いを抱くようになる。

まず、今まで作ってきたイラスト的なデザインで劇映画を作ることに不安はなかったか、藤津に問われたぽぷりか監督は「めちゃめちゃありました」とコメント。また、コンテはキャラクターの表情やどのくらいの引きの画かわかる程度のとてもシンプルなもので「ジブリのような緻密なものとは対極にあるコンテだと思います」とし、「コンテをもとに全部作ってみて、最後にレイアウトを直すような作り方をしています」と答えた。

さらに、コンテの作り方はMVと劇映画は「全く変わらない」と話し、「シーンが連なっていくだけなので、極端なことを言えば、MVを20個繋げていくようなものだと思って作っていました」とMV作りに長けている監督ならではの考え方も明かした。

そして光と影を使った印象的な演出の話になると、「可能な限り、先生(織重夕)は逆光で、彼方は順光にしていました」と気を付けていたことの一例をあげ、具体的には「職員室で一回も座っていなかったけど、先生が座ったら逆光になるようにしていました。もう一個は、上手に向かっていると未来に向かっている表現で、その逆は過去に向かうという意味合いがあるんですけど、それも意識したくて。彼方はずっと下手から上手に向いているし、先生はずっと上手から下手を向いているように意識しました」と語った。さらに、彼方の友人・外崎大輔のスケッチブックが影の中に入っているシーンも「人の目に見えるところではないけれど、これだけの努力を……っていうのがやりたくて」と光を当てていなかった理由を話した。

“モノづくり”がテーマの映画の中で、MVを扱ったことについては「字書きさんとかのお話にしようとも思っていたんですけど、聞いただけの言葉にしか絶対ならないんです」と語り、恥ずかしくはあるが自分自身のストーリーをベースに作ったとのことだ。

そして声のイメージについては、テープオーディションの際に「自分の中に元々(イメージとして)あった声で、そのままはまっていきました」とし、「劇伴があってどこで入ってくるか、セリフをどこで言うかは自分で決められるので、音楽を作っている気持ちでやっていました」と劇映画ならではの楽しさを振り返った。

最後に、劇映画を作ってみて自信がついたところはあるかと聞かれると「30年分の人生喰らえ!っていう感じで作ってしまったので、次同じようなものができるのかなっていう思いはありますね」と話しつつも、「『やってくれ』って言われて面白イなって思ったらやれると思うし、その時に今回みたいな演出ができる自信はあります」と自身の力強い確信ものぞかせた。

舞台挨拶イベントの模様はこちらをチェック(通訳あり)

©「A Few Moments of Cheers」Production Committee

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【第37回東京国際映画祭】『宇宙戦艦ヤマト 劇場版 4Kリマスター』森雪役 麻上洋子が当時を振り返る「私にとって森雪はすごく大きい存在」

11月4日(月)、第37回東京国際映画祭にて、アニメーション部門作品『宇宙戦艦ヤマト 劇場版 4Kリマスター』の上映が行われた。
1974年にTV放送が開始され、日本におけるSFアニメの金字塔であり、アニメそのものの在り方を変えたともいわれる『宇宙戦艦ヤマト』。この日はTVシリーズ総集編として1977年に公開された『劇場版 宇宙戦艦ヤマト』の4Kリマスター版の上映とあり、上映に先立ってヒロイン・森雪役の麻上洋子が舞台挨拶に登壇した。

登壇するや、50年前と変わらぬ声で「古代くん」と観客に語り掛けた麻上。「ヤマト大好きな皆さま、そして森雪を応援してくださる皆さま、私の心の古代くんたち。本当にありがとうございます。初代・雪のキャラクターボイス、麻上洋子でございます」と挨拶すると、会場は大きな拍手に包まれた。

麻上は”声優に憧れて声優になった最初の世代”ともいわれており、小さいころから「鉄腕アトム」や「ムーミン」などのアニメが大好きだったという。

「声優になれば(アトムの声優の)清水マリさんに会えるんじゃないかと思いましたし、自分で声を出してみて、できるんじゃないかと思ったんです。でも声優になる方法がわからなくて…」と志望のきっかけを説明。そして「私の高校卒業と同時に、日本初の声優養成学校ができたんです。その学校にアニメ業界の方が教師として来てくださって。卒業してすぐに『ゼロテスター』(1973年)のリサ役をいただきました。その録音をしているとき、別のスタジオから出てきたのが清水マリさんだったんです(笑)。」と憧れの人に会えたエピソードを披露してくれた。

新人声優がヒロイン・森雪を演じるということ
それからすぐに麻上は『宇宙戦艦ヤマト』森雪役をオーディションで獲得する。麻上演じる森雪は、主人公の古代進と恋仲になっていくヒロイン。第1作時の森雪は18歳の設定で、演じた麻上とも同世代だ。「嬉しかったです。アニメのキャラクターの声をやりたい、それも主役をやりたいと思っていましたから。現場は年上の方々ばかりで緊張の連続でした。のちに永井一郎さんに『あの時の洋子は座ることもできずに、壁に張り付いて先輩たちをじっと見てたよね』って言われたことがあります(笑)。私が座って椅子の音がキュッて鳴ってしまうことも申し訳なくて、自分の存在を消していました」と新人だった収録当時を振り返る。さらに「当時は私の世代の声優がほとんどいなかったんです。なので、私は演じない方がいいと思いました。自分が感じる想いを乗せれば、今の声のままでいいんじゃないかと。すると田代監督もそのままやってくれればいいよと言ってくださって。なので勇気をもって最後まで貫き通しました」。

麻上にとって緊張の『宇宙戦艦ヤマト』収録現場だったが、主人公・古代進役の富山敬とのエピソードを聞かれると「敬さんは本当に優しかったです。私はさっきも言ったように座ることもできなかったんですが、洋子ほらここが空いてるよ。座りなさいって、敬さんはいつも私に座る場所を与えてくださいました。でも(土方役の)木村幌さんは厳しくて、洋子、マイクの前に立ってから椅子に座るまでは女優のつもりでやらなきゃだめだよと、言われていました(笑)」。

あれから50年、当時の「もちろん楽なお仕事ではなかったですが、思い返すと私の中では、森雪は「古代くん」しか言ってない(笑)。でもそれは私がきっと下手だからだろうって思ってたんです。でもこうやって再上映していただいたものを見ると、こんなにしゃべってたの?って思います。(今日上映する)劇場版はテレビシリーズからセリフを録音しなおしているんですが、改めて見るとたしかにテレビシリーズとは少し違うんですよね。でも取り直したということを全然覚えてないんです(笑)。だから自分の声にびっくりしたりしてます」

麻上洋子にとっての森雪という存在とは
そんなヤマトのヒロイン・森雪、という存在は麻上のキャリアにとってどういう存在だったのだろうか。「たくさんファンレターをいただいたのはとっても嬉しかったです。でも宛先は私じゃなくて雪ちゃんなんです。当時はその違いに迷ったこともありました。私は私、いろんな役をやりたいのにって。そう思った時代はあったと思います」と人気作のヒロインの声優ならではの気持ちを明かす。そして同時に「私にとって森雪はすごく大きい存在です。近年特にそう思うんです。こうやって40周年50周年と愛される、すごくいい作品に出会わせていただいて、私は恵まれているなと思います。多くの個性的な先輩たちがいて、そのお芝居の濃さがこの作品を深くしていると感じています。そのスタジオにいられたことは本当に私にとって大きかったですね」。

 そして最後に「今日は皆さんにあえて本当にうれしかったです。ずっと繋がってるんだなという気持ちにさせてくれます。だからもうちょっと生きてみようと思いました(笑)。あちら側に逝ってしまった先輩方も多いですけれど、まだ元気な人もいっぱいいます。これから上映される『宇宙戦艦ヤマト』というべ-スがあって、今の新しい『ヤマト』があります。その新しいヤマトの中で、いつかなにかで声を出すことができたなら嬉しいなと思っています。みなさんずっとヤマトを応援する気持ちを持ち続けてくれたら嬉しいです。今日はありがとうございました」と舞台挨拶を締めくくった。

舞台挨拶イベントの模様はこちらをチェック(通訳あり)

©東北新社/著作総監修 西﨑彰司

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【第37回東京国際映画祭】映画『メイクアガール』トークイベント/安田現象監督「本当に出来上がるのかなというところからのスタートでした」

第37回東京国際映画祭のアニメーション部門で11月5日『メイクアガール』のプレミア上映が実施され、安田現象監督、声優の種﨑敦美が上映前にトークを行った。

本作は、SNSの総フォロワー数600万超を誇るアニメ作家・安田現象による劇場アニメプロジェクト第1弾。原作、脚本、監督など、ほぼ全てを安田監督が担当し、人々の生活をサポートするロボットが普及した近未来を舞台に、天才的な頭脳を持つ水溜明と、彼によって生み出された人造人間のカノジョ“0号”の葛藤を描く超新感覚サイバーラブサスペンス。

映画が感想し、ついにお披露目となった事について、0号を演じた種崎は「アフレコがだいぶ前で、やっとお客様に観て頂く日が来たという気持ちです。監督の思いがこもった映画を観ていただけるのは嬉しいですし、心待ちにしていた方も沢山いらっしゃると思うので早く観て頂きたいという気持ちです」と笑顔でアピール。安田監督は「チームで作ったと言っても、4人のアニメーターと3人のモデラーというなかなかの人数で90分の作品を作ったので、本当に出来上がるのかなというところからのスタートでしたが、本当に出来上がるもんなんだなと自分自身で驚いています。上映直前ですが、今さら安心感と脱力感を感じております。」と心境を語った。

本作が生まれた経緯を訊かれると、安田監督は「いつもコンセプトから作るタイプでして。今回は自分がニートしていた時期に、人と関わりたくないけれど、人間関係にはなんらかの形で触れたいという矛盾した願いを抱えていた時に、思考実験で言葉遊びとしていたのが始まりです。」と話す。「“科学的に友達を作ったら?”みたいなワードが出た時に、これは作品にしたら転がりそうだなと思い、広げていったのが本作の元になったショートアニメ「メイクラブ」です。映画にするあたり、ショートアニメから映画として語りたいところを改造して作り上げました」と創作の経緯を明かした。

人造人間を演じる上で意識していたこに関して種崎は「データや記録はインプットされているんですけど、動き出してからの経験とかはまっさらな状態だから、生まれたばかりの子供のような感じなのかなと。そこから人と触れ合って観察して成長していくことを思いながら演じました。まっさらな状態から成長していくキャラクターなので、成長していくのは実際にアフレコ現場に行って、他の役者さんと掛け合いをしながら成長していこうという思いでした」と役にどうアプローチしたかを解説した。

さらに種﨑は、収録の休憩中に安田監督に役への質問をし際のエピソードを披露。質問への回答後に安田監督から「この現場で色んなことを学ばせていただいております」というニュアンスで「ありがとうございます」とお礼を言われたことに、常にアンテナを張って、自分の作品のために貪欲に吸収しようとする姿勢が印象に残っているという。安田監督も、種﨑からの質問を受けて、「キャラクターの作り方を側から見ることが刺激になりました。こうして声や芝居の側面から表現って開拓できるんだなと勉強になり、今後のショートアニメなどに生かしていけると思いました」と語り、壇上で種﨑にあらためて「ありがとうございました」と感謝していた。

舞台挨拶イベントの模様はこちらをチェック(通訳あり)

©Yasuda GenshoXenotoon・MAKE A GIRL PROJECT

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【第37回東京国際映画祭】『化け猫あんずちゃん』トークショー/山下監督「作品と少し距離感がある感じが楽しかった」

第37回東京国際映画祭のアニメーション部門で10月30日、日仏合作アニメ『化け猫あんずちゃん』が上映され、その後のトークショーには久野遥子監督と山下敦弘監督、日仏共同製作担当の高橋晶子氏が登壇した。

本作は、いましろたかしの同名コミックを原作とし、お寺のおしょーさんに拾われた子猫のあんずちゃんが、10年、20年経っても死なずに、30年経つ頃には化け猫になっていたという物語。

本作では実写で撮影した映像からトレースする「ロトスコープ」という手法で制作された。 実写部分は山下監督、アニメーションは久野監督が務め、俳優の森山未來が主人公の化け猫の声と動きを担当し、第77回カンヌ国際映画祭「監督週間」にて公式上映され、アヌシー国際アニメーション映画祭 2024 ⻑編コンペティション部門への正式出品されるなど、世界中から注目を集めた。

今回、ロトスコープを使っての撮影に挑戦した山下監督は、「純粋に楽しかったです。自分が監督した映画であるんですが、最終的にアニメという形になるので、作品と少し距離感がある感じがすごく楽しかったです。」と語った。

一方で、久野監督は「あんずちゃんのフォルムと、森山さんのシュッとしたフォルムが異なるので、あんずちゃんが縦に伸びるみたいなことがありました(笑)」と実写からアニメ化する際の苦労を明かした。また、「実際の映画の撮影現場のようなに撮っていたので、役者さんたちの掛け合いなどの熱量がすごかったです。本当に田舎の風景のような場所で撮っているので、足に虫が来たりしましたが、それはそのままアニメーションにしたりしたことがおもしろかたったです」とロトスコープならではのおもしろさを語った。

今作は、日仏共同制作ということで、特に美術をフランスが担当することを聞いたときの感想を聞かれると、高橋氏は「個人的にフランス人にあんずちゃんのユーモアが通じるのか?といった懸念がありましたけれど驚くほど理解されましたし、日本の風景をフランス人が書けるんだろうか?と最初はちょっと驚きと不安がありましたけれども、本当にフランスの方々がとても楽しんで日本の風景を描いていて、久野監督とたくさんやり取りをしながら描いていたので、とても新鮮な体験でした。」と感慨深げに語った。

舞台挨拶イベントの模様はこちらをチェック(通訳あり)

©Takashi Iwashiro, Kodansha / Ghost Cat Anzu-chan Production Committee